教授あいさつ

2010年より、第2代教授を務めている桐戸敬太と申します。
山梨県の出身であり、大学は自治医科大学医学部を卒業しています。
山梨県立中央病院での研修、山梨赤十字病院での一般内科医として勤務した後に、自治医科大学医学部血液学教室の大学院に入学。海外留学を経て、2005年より山梨大学血液・腫瘍内科で働いています。
そもそも血液・腫瘍内科とはどのような診療科なのか、また山梨大学の血液・腫瘍内科の特徴はどんなところにあるのかについて紹介したいと思います。

I. 血液内科とはどのような診療科なのか

(スペシャリストでありジェネラリストである)
血液内科には専門性の高く、集約性が必要とされる診療科とのイメージがあるかも知れません。確かに、造血系腫瘍治療の進歩は著しく治療のガイドラインも日々更新されており、高い専門的な知識が要求されます。また、造血幹細胞移植やCAR-T療法などの細胞治療は、高無菌治療室など高度の集約性・拠点化を必要とされる領域です。
一方で、血液疾患の多くは70歳以上の高齢者で罹患率が高くなります。すなわち、高齢化の進んだ過疎地域でこそ血液内科のニーズは高いと言えます。そのニーズに応えるためには、地域医療的な対応も求められます。高齢者の多くは、様々な合併症をもっていることが多く、血液疾患の治療のみならずこれらのプロブレムにも同時に対応していく必要もあります。
このように、血液内科医はスペシャリストでありジェネラリストです。

(フィジシャンでありサイエンティストである)
血液内科は基礎研究と実臨床との距離が最も近い領域の一つです。疾患のメカニズムを遺伝的的・分子生物学的に理解することが、診断や予後予測そして治療に直結しています。さらに、疾患の治療効果判定にも分子生物学的な手法が取り入れられ、より正確に疾患の治癒を評価することが可能となっています。一方で、臨床上の疑問を基礎医学的な手法で解析しやすいという特徴も有しています。

(ロジカルでありアグレッシブである)
血液内科疾患の診療は、臨床所見、データ、病理像、遺伝子情報などを総合的にかつロジカルに組み立てるものであり、最も内科らしい内科と言えます。一方、治療となると、特に白血病治療ではtotal cell kill理論に基づいて、とことんまで腫瘍と戦う、非常にアグレッシブな診療科です。

II. 山梨大学医学部 血液・腫瘍内科が目指すもの

(1) 人材育成

山梨県はもとより、全国的に血液内科専門医は不足しています。このため、私たちが最も重点をおいているのは次世代を担う人材の育成です。これには、医学部学生から研修医、そして血液内科医を目指す専攻医の各段階といった時間軸と、山梨県内の地域の病院との人材交流、専門性の高い高度な施設への研修派遣といった地理的な広がりの2つの視点に基づいて計画をたてています。

学生教育:
血液内科では、手術や検査などを見学する機会はほとんどありません。診療参加型実習の本質にたって、指導医・研修医のチームの一員として外来・病棟での日々の診療に参加をしながらの実習を目指します。また、日本血液学会関東甲信越地方会の医学生のための教育セミナーにも学生の参加を奨励し、サポートします。

研修医教育:
研修医教育においては、通常の診療技術の習得に加え、症例報告を行うことを励行し、指導をしています。これまでに、日本血液学会関東甲信越地方会、内科学会関東地方会等で、多くの研修医の先生が発表を行なっています。特に、第7回および第9回の血液学会関東甲信越地方会では、研修医の先生の発表が優秀演題に選ばれています。
専攻医:
山梨大学の内科専攻医のプログラムに登録し、研修を進めます。
加えて、血液・腫瘍内科としてのスペシャリティーとして、
日本血液学会専門医、
日本造血細胞移植学会移植認定医、
日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医などの資格の取得が可能です

県内医療機関との連携:
山梨県立中央病院血液内科との人材交流
自治医科大学卒業生の後期研修の受け入れ。
甲府共立病院の研修医を対象とした血液疾患の研修会(毎月1回)。
高度専門医療機関との連携:
これまでに、国立がん研究センター造血幹細胞移植科、駒込病院血液内科に若手医師を派遣し、1年間の研修を受けています。

看護師育成への協力
山梨大学医学看護学科、帝京看護専門学校、富士吉田看護専門学校において血液疾患の基礎についての講義を担当しています

患者会との連携
リレーフォーライフや山梨がんフォーラムなど、山梨県内のがん患者さんのグループ活動に積極的に参加しています。
また、桐戸は2019年より骨髄増殖性腫瘍患者・家族会のMPN JAPAN(http://mpn-japan.org/)の代表顧問を務めています。

(2)臨床活動

1年間に約200名の新規血液疾患症例の診療にあたっています。造血細胞幹細胞移植については、これまで自家移植および血縁間移植を行ってきましたが、2019年度には、日本造血細胞移植学会の移植施設認定(カテゴリー2)を取得し、今後さらに様々な移植治療に対応することが可能になりました。
詳しくは、診療実績へ。

また、桐戸は日本血液学会造血器腫瘍診療ガイドラインや日本臨床腫瘍学会 腫瘍崩壊症候群診療ガイダンスの作成に委員として参加をしています。

(3)研究

基礎および臨床研究については、詳しくは研究のページへ

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